【CTIC通信】収容所の中からの叫び No.170

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収容所の中からの叫び


 「トイレの消臭剤をください。」
 ある日の面接の最後に、ひとりの女性収容者が「もしできれば……」と遠慮がちに口にした言葉でした。


 収容されている方々が、日用品、衣類その他の生活必需品を際限なくリクエストするということは、三度の食事は支給されていても、生きるためのその他の必要なケアは非常に不十分なのではないかという疑問を持たざるを得ません。収容所内部のことは、面接の折の聞き取り、あるいは、かつて収容されていた方々からの証言により、その概要を推測するしか方法がありませんが、生活必需品のみならず、生存に関わる医療・住環境・衛生面など、課題は山積している現状です。


 この現状をふまえ、長年にわたり、「入国管理局収容施設における環境改善」を求めて人権団体や、キリスト教団体による茨城県牛久市の外国人収容所長との交渉が粘り強く続けられてきましたが、ようやく近年少しずつ改善の兆しが見え始めてきた事は、喜ばしい事といえます。第一に、医療面での改善点(2012年)としては、


・ 入所時に血液検査および尿検査が実施されるようになった。――画期的な改善点

 

・ 長期収容者に対する血液検査および尿検査の実施

 

・ 外部診療が積極的になされ(まだ、手錠をはめたままではあるが)、仮放免時に申し出があれば、 紹介状・診療記録が渡されるなど。また、そのほか

 

・ 夜間に電話がかけられるようになった

 

・ 女性の部屋に鏡を入れてくれた

 

・ 床にマットレスを敷いてくれた

 

・ 窓が両端5センチずつ開くようになった

 

などがあり、畳の張り替え、トイレの換気扇の設置などの訴えは予算の関係上、まだ実現せず、前述の女性の消臭剤のリクエストとなったものと思われます。


 面接による聞き取り、情報提供などに重点をおき、差し入れは控えるという方針で活動を行なうようになってから1年以上が経過しましたが、収容されている方々からの切実な叫びが聞こえてくるとき、出来る範囲での支援(物品も含めて)を続けたいという思いは逆に強まってきているように思います。物を媒介とした人間関係には色々議論の余地があると思いながらも、彼らの望みに応えたいという気持ちはどこから?と自問自答するとき、彼らの姿は、姉妹、兄弟として非常に近しい人に変わってくるのを感じます。「彼女、彼らはわたしのかけがえのない姉妹・兄弟だから」と言い切れる度合いがキリスト者としての度合いなのでしょうか。   

 

シスター木口朋子

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